修平の視察報告
和歌山県古座川町の鳥獣食肉処理加工施設を視察
平成28年9月12日(月)
-個人視察-
●有害鳥獣の現状
山林を抱える市町村において、鳥獣被害対策は長年頭の痛い課題となっています。わがまち河内長野市においても、イノシシによる農作物の被害が後を絶たず、平成26年度の被害総額は290万円となっています。平成22年度の460万円から比べると、減少しているものの、鳥獣被害は数字に表れる以上に農家にとっては深刻な問題です。
これまで農林業への被害防止策として、防護柵や電気柵などの設置と併せて、猟友会の皆さんなどに捕獲を行っていただいています。河内長野市で平成27年度に有害鳥獣捕獲されたイノシシは127頭に上っています。
●ジビエとしての活用
イノシシは主に冬の猟期の間は脂が乗り食肉として扱われますが、猟期以外の有害鳥獣として捕獲されたイノシシは肉質が違うため、山に埋めたり、焼却処分されています。
そうした中、全国的にも野生鳥獣をジビエとして活用することに注目が集まっていることから、奥河内産のイノシシも豊かな自然の恵みとして利用価値は大きいと考え、これまで製品化する方策を研究してまいりました。
●和歌山県古座川町の鳥獣食肉処理加工施設
和歌山県古座川町の鳥獣食肉処理加工施設は過疎債を活用して整備されました。総事業費は約6,700万円(うち国の交付金は1,900万円)で、和歌山県からは170万円の備品費が補助されています。
施設に常駐している職員は3名で、そのうち1名は国の「地域おこし協力隊」として、3年間の期限付きで古座川町への居住者として派遣されています。
町内で捕獲されるシカは年間1,100頭、イノシシが60~100頭にも上り、施設の必要性が十分に感じられます。そして、施設に持ち込まれたシカやイノシシは加工処理された後、併設されている料理旅館や道の駅、スーパーなどに卸されています。また、食肉として扱うことができない部位は、神戸市にあるペットフード加工会社に引き取られています。
収支状況は比較的に安定しているものの、「地域おこし隊」の職員給与は国から補填されているため、任期切れになるまでに人件費一人分あたり(300~400万円)の収支改善を図っているとのことです。そのため、処理頭数をさらに増やす必要があり、近隣市からも搬入の受け入れを行っています。また、将来的には「養麓」という選択肢もあるという、ある意味壮大な計画をお聞きしました。
●河内長野市における取り組みと課題
捕獲したイノシシは一定時間内に加工施設で処理することが義務付けられているため、狩猟範囲が限定的であることが大きなネックになります。また、河内長野をはじめ奥河内地域において捕獲されるイノシシの頭数を古座川町での捕獲頭数と比較すると、約10分の1程度であるため、施設整備の必要性が問われることになります。
今後の課題としては、ジビエとして販売できるシステムや、狩猟者の捕獲意欲を上げるための持続的な捕獲体制の構築などが挙げられますが、実現に向け、大阪府と河内長野市が一体となった取り組みを推進してまいります。
なお、この問題については、9月定例府議会で取り上げる予定です。