令和元年１１月２２日（金）

－会派「創生保守」視察－

●上工下水道一体官民連携事業導入の背景

宮城県では人口減少や水道設備や管路の更新時期を迎え、今後の水需要の減少を見込んだ施設の統廃合や管路のダウンサイジングなどにより効率化を図っても、値上げは避けられない状況となりました。
また、浄水場などの運転管理を約３０年間、民間事業者に委託してきましたが、その民間の力を十分に活かせていない状況にありました。
そこで、県が上水道・工業用水道・流域下水道の水道３事業を民間活力を最大限活用し、大幅なコスト削減を可能にする「みやぎ型管理運営方式」を導入することになりました。

●「みやぎ型管理運営方式」と事業の削減効果

従業員の契約期間は、現状の４～５年間から２０年間に延長することで、雇用の安定や人材育成、技術継承を行うことが可能となります。
また、契約単位については、これまでの事業ごとに個別に委託していたものを一体的に契約を行うことで、スケールメリットの発現効果が期待できます。
さらに、発注方式についても、これまでの人件費ベースからＩＴを活用した自動化を図るとともに、最新の管理ソフトの導入や民間による薬品などの長期一括調達、設備の修繕や更新工事を行うことで、大幅なコスト削減を実現を図ります。

事業の削減効果額は、９つの事業合計で約２４７億円にも上ります。また、大崎広域水道事業では約８２億円の削減、仙南・仙塩広域水道事業では約７１億円の削減を見込んでおり、水道料金の上昇を抑制することで、県民や市町村への還元をめざしています。

●今後の事業スケジュール

令和２年３月には民間事業者の募集要項が公表され、基本協定書案や実施契約書案、県からの要求水準書が示されます。そして、令和３年度中に優先交渉権者が決定し、令和４年４月から事業開始される予定です。
なお、すでに静岡県浜松市において、下水道事業において同様の手法が導入されています。また、大阪市の上水道事業においても、同様の手法を用いた事業の導入をめざしています。
水道３事業を一体的に官民連携により運営する「宮城県型」の成否が全国的に影響をもたらすことは間違いないことから、今後も事業を注視していきたいと考えております。

●仙台空港の民営化とは

昭和６１年、仙台空港は滑走路の延長を行うなど、国際化への取り組みを始め、平成３年には韓国・ソウル便や米国・グアム便が就航するなど、東北初の国際空港となりました。
その後、旅客数は３００万人を超えるなど、順調に推移していましたが、平成１９年から旅客数は減り始め、平成２３年の東日本大震災により大打撃を受けました。
そのような中、同年１２月、宮城県は震災からの完全復興と空港の収益向上の打開策として、仙台空港を民営化する方針を打ち出しました。その際、第３セクターが運営する空港ターミナルビルや貨物ターミナルビルなどと、国土交通省が行う着陸料収受や維持管理事業、宮城県などの自治体や地元経済界がなどが行うエアライン誘致や空港利用促進事業などを一元化し、日本初（当時）の「完全民営化」空港として運営されることになりました。

●民営化後の実績

平成２８年に完全民営化による運営が始まり、同年の旅客数は約３１６万人、そして平成３０年には３６１万人となり、過去最高を更新しました。
現在の国際線は韓国・ソウル便をはじめ中国・北京便や上海便、台湾・台北便、タイ・バンコク便などが就航していますが、今後は東南アジア圏などの中距離路線の拡大への図られる予定です。
そして、空港内でのスムーズな移動目標が設定されており、出発においてはチェックインから出国審査まで１５分以内、到着においては降機から到着ロビーまで３０分以内という目標値が掲げられています。
また、鉄道の増発や仙台市街へのバス路線の多重化など、空港アクセス強化による利便性の向上をめざしています。

さらに、完全民営化による防災対策などの安全面への取り組みを強化するため、災害発生時の対応を想定した各種訓練などが随時実施されるなど、自立した空港運用をめざした人材育成が行われています。
平成３０年、関西国際空港は台風２１号による浸水被害や連絡橋へのタンカー衝突事故など、甚大な被害を受けました。関空は同様に民間事業者による管理・運営が行われていることから、仙台空港が東日本大震災からの復旧・復興を成し遂げた経験と災害への備えについて、あらゆる情報共有を図るべきであると考えています。

▲宮城県庁職員から説明聴取する様子

▲仙台空港の出発ターミナル

▲仙台空港の出発ターミナル