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修平の視察報告

明石市の子育て施策を行政調査

令和4年9月8日(木)

-自民党府議団視察-

●明石市の概要

明石海峡に面する明石市は、面積約50k㎡(河内長野市の約半分)で人口約305,000人の中核市です。明石市を通る東経135度の経度が日本標準時「子午線」とされています。特産品は明石だこや明石焼などが有名です。

●「5つの無料化」と明石発・全国初の子育て応援策

2011年、泉房穂氏が市長に就任以来、充実した子育て支援策を次々と打ち出し、中でも、明石市独自の「5つの無料化」施策が全国的にも有名となりました。
「5つの無料化」とは18歳までの医療費無料化をはじめ、第2子以降の全員の保育料無料化、満1歳までのおむつの無料宅配、中学校給食費の無料化、市の遊戯施設の親子無料化を「所得制限なし」で実施しているものです。

この「5つの無料化」のほかにも、養育費の立替え払いや親子の面会交流支援、無戸籍児への支援、児童扶養手当の毎月支給、こども食堂の全小学校区での開設、児童相談所の改革など、明石発・全国初の子育て応援策が目白押しです。

また、ソフト対策だけではなく、ハード対策として明石駅前のビルテナント内に子育て複合施設が設置されており、一時預かりの保育ルームをはじめ、親子交流スペース、中高生世代交流スペースや楽器演奏ルーム、図書館などが併設されています。
さらに、聴覚障がい者用のユニバーサル・ルームや全国初となる「手話フォン」が設置されるなど、障がい者にも優しいまちづくりが行われています。

なお、子ども部門の予算については、2010年度は約126億円でしたが、泉市長就任後に予算のシフトを断行し、2021年度は258億円が計上され、11年間で2倍以上に増やしました。

 

●「まちの好循環」を明石から全国へ

こうした充実した子育て施策を展開したことにより、子育てをしやすいまちという「安心」を勝ち取り、出生率は2011年の1.50から2020年が1.62と上昇しました。また、9年連続で人口が増加(13,000人増・全国の中核市で増加率1位)し、初めて30万人を突破しました。中でも、子育て層が大幅に増加し、2022年現在も過去最多を更新中です。

財源についても、個人市民税や固定資産税などの主要税収が8年で32億円増加し、基金残高も70億円(2010年度)から121億円(2021年度)に増加、そして、負債残高も着実に減少し、実質交際費比率が2.8%ととなり、兵庫県内で1位となりました。
そして、子育て層の増加に伴い、明石駅前への新規出店が2倍超、地価は7年連続で上昇、来訪者も激増するなど、賑わいの創出とともに、地域経済も過去最高益を更新中です。

このように、子育て支援策を充実させることで、まちに賑わいや地域経済を活性化し、税収増による持続可能な財政運営とともに、高齢者や障がい者への福祉施策の充実が図られるなど、「まちの好循環」を生み出しています。

 

●大阪府や河内長野市がめざすべき子育て施策

先鋭的な明石市の取り組みは全国的にも認知度が高まり、こうした地方の取り組みの成果を受け、国が「異次元の少子化対策」の方針を示し、今後、子ども家庭庁の創設とともに、子育て施策にさらなる充実をめざすことにつながったと考えています。

府は現在、私立高校授業料の無償化制度など、独自の取り組みが展開されていますが、子ども医療費の基礎負担分は他府県と比較しても少なく、府内市町村からも毎年、さらなる予算確保を求める要望が出されています。
また、地元の河内長野市のおいても、人口減少が続いていますが、特に、子育て世帯の減少が顕著です。そのような中、明石市のようなドラスティックな改革を断行し、子育て世帯への予算のシフトチェンジを図る必要があると考えています。

 

▲泉房穂市長と

▲子育て関連施設を丁寧に案内される泉市長

▲一時預かりの保育ルーム

▲親子交流スペース

▲明石市らしい魚類を学ぶスペース

▲中高生世代交流スペース

▲市立図書館

▲図書館内にある聴覚障がい者用ルーム

▲中高生向けの楽器演奏ルーム

▲全国初設置された「手話フォン」

▲市長への意見箱