修平の独り言
IR推進法案が可決
平成28年12月17日(土)
カジノを含むIR(統合型リゾート)整備推進法が成立した。大阪の成長の起爆剤として、その必要性を訴えてきた一人として、「ようやく」の気持ちでもある。
これまで、「急いで審議するテーマではない」、「審議する環境にはない」など、辟易する物言いで国会での審議拒否が続いてきたが、そもそもIR推進法案をはじめ関連法案はギャンブル依存症対策やマネーロンダリングなどの潜在的リスク対策とセットものだ。審議すらしようとしない人たちは、円錐形を真横から見て「尖っているから危険」と言っているだけで、真上から見れば丸いし、立ち入り禁止の場所には欠かせない物もあることを知らないのだろうか、とも思っていた。
また、IR推進法案を巡ってメディアの反論も続いている。依存症などの問題は既存のギャンブルにも存在するが、それらを取り上げないのは何故か?以前、別の事案だが、現場の思いと局の方針の違いに悩む記者の話を聞いたことがあるが、IRについてはどうなんだろう?“右に倣わない”報道が見たい視聴者も少なくないのが私の肌感でもある。
カジノを含むIR先進国のシンガポールでは、依存症対策の一環として啓発CMを放映しており、中にはコミカルな内容で視聴者の心を掴むものもある。つまり、そうした対策を日本でも法律で求めているのだ。一方、日本の既存ギャンブルのCMは宣伝のみ。IR事業者も番組スポンサーになり得るということを理解してもらいたい。
そうしたカジノの潜在的リスクへの備えを十分に行ったうえで、「起爆剤」と言い切れる先例を紹介しておきたい。
2010年にマリーナ・ベイ・サンズなどのIRがオープンしたシンガポールでは、2015年現在(オープン前年の2009年と比較)、外国人観光客数は57%増、観光収入は73%増、GDPは43%増、新規雇用は28万人増の経済波及効果がもたらされた。
現在、大阪は南港の夢洲(人工島)への誘致を進めており、年間約7,600億円の経済波及効果、約9万8千人の雇用創出効果を算出している。
なお、日本国内でIRを整備するためには、IR推進法以外にも関連法案を国会で制定する必要があり、それらの法律制定後に整備できる都市が決定される。また、IR事業者にはギャンブル収益を非採算部門へ充当することや、潜在的リスクに対する対応が義務付けられることになる。